今回は、ネットビジネスで安定収入を生み出すマーケティング手法で、心理学を応用したアップセル、ダウンセル、クロスセルの意味と違いについての解説です。
アップセル、ダウンセル、クロスセルの解説動画
マーケティングにおけるアップセルの意味
アップセルとは、ある商品の購入を検討してるお客さんに対して、お客さんが希望しているよりも高価でより品質の高い商品を勧める販売方法になります。
お客さんが買おうと思っているものよりも高いものを売るなんて無理じゃない?!と思いましたか?
ところが、顧客の心理をうまく使えば、お客さんが買おうと思っているものよりも質が高くて高額なものを販売することができます。
アップセルにおける顧客心理
アップセルが有効なケースというのは、特に一生モノや高額な商品の購入といった大きな決断を強いられ、「どうせ買うなら後悔したくない」というお客さんの心理が働いているときです。
一生モノというのは、たとえば結婚式です。
特に女性の場合は、ウェディングドレスは後々、絶対に後悔したくないので、予算内のドレスを試着したあとに、「お値段は少し高くなりますが、お客様にピッタリのドレスがございます…」とアップセルの提案を受けた場合、ほぼ100%の確率で成功します。
また、高額な商品というのは、たとえば新築の戸建てや新車です。新築の家や新車を購入した人で、予算以下のものを買いましたという人は聞いたことがありませんよね。
これは、「どうせ買うなら後悔したくない」という心理が働いているからなんですね。その心理をうまく使って売上を伸ばすのがアップセルになります。
マーケティングにおけるダウンセルの意味
ダウンセルは、お客さんが商品の購入を検討した結果、予算を超えていたとか、そこまでのクオリティは求めていないといった理由で購入を見送ろうとしているお客さんに対して、品質の落ちるより安い商品を勧める販売方法になります。
ここで注意が必要なのは、ダウンセルは、いわゆる値下げ販売とは違うということです。
同じ商品の価格を下げて販売するのではなくて、品質が少し劣るけれども値段が安い別の商品の提案をするということです。
家電の場合だと、最新モデルではなくて、ひとつ前のモデルを提案することがダウンセルになります。
ダウンセルは、お客さんが購入を見送ってしまう、つまり売上がゼロになってしまうところを、品質は劣るけれども値段の安い別の商品を勧めて購入につなげることで、成約率をアップさせるための手法です。
つまり、売れなくなるより安くても売った方がマシというわけです。
ダウンセルにおける顧客心理
ダウンセルを成功させるのに有効なお客さんの心理としては、「返報性の原理」というものがあります。
返報性の原理というのは、人間は何かしてもらった相手にはお返しをしなくちゃという心理が働くということです。
つまり、販売員が色々親身になってくれて相談にのってくれていた場合は、販売員の人がこれほど親身になってくれたんだから何か買って帰らないと悪いなという心理が働きます。
この返報性の原理をうまく使って、値段が高いから買わないで帰ろうかなと思っていたところに、品質は劣るけれども安価な商品の提案をして成約率を上げるのがダウンセルになります。
ネットビジネスの場合は、色々役に立つ情報をたくさん提供しておくと、色々有益な情報をもらったから買わないと悪いなと思う心理が働きます。
ダウンセルのメリット
安いものを勧めるので一見デメリットの方が大きいのでは?と思いがちなダウンセルですが、うまく提案できると逆に売上を伸ばすことができます。
どういうことかというと、「お客さんの用途なら、この機能は必要ありませんので、こちらの安い商品でも十分だと思いますよ」といった形で、お客さんのニーズや要望に合った形で提案できれば、ダウンセルをすることで、お客さんの信頼や信用を得ることができます。
ダウンセルでお客さんの満足度が上がれば、クロスセルによって、追加で買い物をしてくれるケースも増えて、結果的に、売上を伸ばすことにつながります。
マーケティングにおけるクロスセルの意味
アップセルとダウンセルが購入を検討しているお客さんに対して行う販売手法だったのに対して、クロスセルは、購入を決定したお客さんに対して、別の関連商品を勧めて売上を伸ばす販売方法になります。
クロスセルの一番分かりやすい例は、マクドナルドでハンバーガーを注文したときに「ご一緒にポテトやアップルパイはいかがですか?」というやつです。
ほかにもAmazonや楽天などのオンラインショップで見かける、「よく一緒に購入されている商品」や、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というものです。
「あと〇〇円の購入で送料無料になります」というのもクロスセルになります。
関連商品の提案だけじゃないクロスセル ~おむつとビール~
クロスセルでは購入を決めた商品に関連する商品を提案するのが一般的ですが、一見関連していなさそうでも、お客さんの属性に上手く合致していればクロスセルが成立するケースもあります。
最近の話で有名なのは、アメリカのスーパーでおむつ売り場の近くにビールを置いたところ、ビールの売上が急激に伸びたケースです。
おむつの関連商品なら離乳食や粉ミルクといったベビー用品のほうがおむつと一緒に売れそうですが、一見おむつと関連のなさそうなビールを置いたところおむつと一緒に買われるケースが急増しました。
これは、おむつを買いにくるお客さんのほとんどがパパ、つまり男性客が多かったというところに目をつけたスーパーが、おむつ売り場にビールを置いたところ、一緒に購入していくお客さんが増えたというわけです。
というわけで、クロスセルを行う場合は、一見関連性のなさそうな商品でも、お客さんの属性や行動パターンを基に行うと有効なケースもありますので、意識しておくといいと思います。
クロスセルにおける顧客心理
クロスセルが成功しやすいお客さんの心理現象としては、「テンションリダクション効果」があります。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、テンションとは緊張という意味で、リダクションというのは減少、減るという意味です。
これは、人間は意思決定をすると次の瞬間には気が緩みがちになって「ついでだから一緒に買っておこうかな」という気持ちになりやすくなるというものです。
購入という意思決定をした直後は、「財布のひもが緩みやすくなる瞬間」なのはあなたにも経験があると思います。
「どうせ財布を開くんだからこれもついでに一緒に買っちゃおう」といった感じで、買い物に対する一貫性が働きやすくなります。
コンビニのレジ横に置いてあるお菓子はまさしくこのテンションリダクション効果を利用したクロスセルといえます。
アップセル、ダウンセル、クロスセルの違い
アップセル、ダウンセル、クロスセルの違いについては、これでお分かりいただけたと思います。
アップセル・・・グレードを上げた高額な商品を勧める販売方法
ダウンセル・・・グレードを下げた低額な商品を勧める販売方法
クロスセル・・・同時に別の関連商品を勧める販売方法
アップセル、ダウンセル、クロスセルの最適なタイミング
アップセル、ダウンセル、クロスセルがそれぞれ売上や成約率をアップさせるマーケティング手法であることはお分かりいただけたと思います。
ただ、アップセル、ダウンセル、クロスセルは提案するタイミングを間違えると失敗に終わります。失敗とはつまり、商品を買ってもらえなくなります。
アップセル、ダウンセル、クロスセルを成功させるには提案するタイミングがとても重要です。
アップセルを提案する最適なタイミング
アップセルは、商品の購入を前向きに検討している段階で行うのが最適なタイミングになります。
商品の購入を決定した後で「もっといい商品がありますよ」とアップセルを行うと、「せっかく買いたい商品が決まったのに、いまさら何?」と、押し売りのイメージが強くなってしまいます。
逆に、まだ商品を買おうか悩んでいる人にアップセルを行うと的外れな提案になってしまいます。
お客さんが「〇〇が欲しいんだけど、どれにしようかな?」と考えているときがアップセルを提案するベストなタイミングになります。
ダウンセルを提案する最適なタイミング
ダウンセルは、お客さんが商品の購入を検討しているときに、価格について否定的な反応を示したときに行うのが最適なタイミングになります。
「この商品、いいんだけどちょっと高いかなぁ」とお客さんが言ったときに、別の選択肢があることを伝えるとうまくいきます。
クロスセルを提案する最適なタイミング
クロスセルは、お客さんが商品を購入することを決めた直後に行うのが最適なタイミングになります。
クロスセルは、あくまでも「ついでだから買っちゃおう」というお客さんの心理を利用した提案になりますので、お客さんがどの商品を買おうか悩んでいるときにしても成功しません。
どのカメラを買おうか悩んでいるお客さんに、今ならカメラと一緒に望遠レンズを買うとお得ですよと言われても全然魅力的な提案にはならないですよね。
なぜなら、お客さんはどのカメラにしようか考えているときで、その先に必要になるかもしれない望遠レンズについては考えていないからです。
大切なのは顧客目線
アップセル、ダウンセル、クロスセルは、あくまでもお客さんにとって有益だからこそ売り上げが伸びたり、成約率が上がったりして顧客単価が上がるものです。
これまで見てきたとおり、まずは顧客目線に立って、お客さんのニーズや要望を正しく理解して、お客さんに適切なタイミングで価値を提供することを第一に考えていなければ、アップセル、ダウンセル、クロスセルのマーケティング手法を使っても売上を伸ばすことはできません。
そして、的外れな提案をすると、返ってお客さんの不信感を招くことになって、あなたから商品を買おうとは思ってくれなくなります。
まずはお客さんの目線で、お客さんが何を求めているのか、どんなものを必要としているのかをしっかりと理解するようにして、その上で、今回お話ししたアップセル、ダウンセル、クロスセルを上手に織り交ぜて、お客さんにより多くの価値を届けていくようにしてくださいね。